ハンドメイド作家として大切にしてきた2つのこと

私はハンドメイド作家として10年間仕事をしてきました。主婦の「趣味の手仕事」でしかなかったハンドメイドが、この十数年で「ビジネス」に変化をしたのを体感した10年。その経験が、今後は福祉ハンドメイドの可能性になるのでは?と、作家活動を控えて、障害を持つ娘との将来を考えることにシフトしている私です。

「ハンドメイド品を販売する」=「ハンドメイド作家」という世の中になり、ネット上にハンドメイド作品が溢れかえっているように思います。作品に一人でも購入者やファンがいれば、その作品は増え続けていきます。

「売れるハンドメイド」「稼げるハンドメイド」「ハンドメイドビジネス」。ハンドメイドがビジネスになり仕事として認められるようになったのは喜ばしいけれど、こういった言葉に違和感を感じるのは私だけでしょうか。

委託先やイベント先からの発注が増えた時期があり、朝から深夜まで制作に追われた年がありました。その時はただ目の前のことに必死で、月の収入が100万円を優に超えていたことにも気づいていませんでした。たしかに、稼げる仕事だと感じたこともありますが同時に、「何かを見失っている」と思いました。立ち止まり、仕事を減らし、作品作りと向き合う時間を大切にするように仕事の意識として変化していきました。

私がハンドメイド作家をするにおいて大切にしてきたことは2つです。 

人と環境に優しいものづくりであること

まだ革と出会っていなかった20代の頃、セレクトショップなどで”古着を切り裂いて製作したポンポン”が店頭に並んでいました。確か「リデュ」というブランド名で、都内のB型就労支援施設の方々が制作に携わっていました。(福祉ハンドメイドにはその頃から関心が。)それに強く感銘を受けて購入したポンポンのついたカゴバッグは私の愛用品でした。ブランドは今は閉業されていますが、そこからインスピレーションを受けて制作した革花PONPONが、私の作家活動の始まりです。

近年は特に環境に優しい材料や製造プロセスへの関心が高まっています。作家にも企業にも、持続可能性でエシカルな製品への取り組みを積極的にアピールすることが求められると思います。耐久性があり、長く愛用される品質とデザインを追求することが重要です。廃棄物を減らし、消費者のニーズに合致する製品を提供することで、持続可能な消費を促進することができます。

・流行に左右されない世界観のある作品づくり

アクセサリーは、ファッションや音楽の流行に左右されます。また、それによってハンドメイド資材にも流行品がでてきます。2015年あたりのコットンパール流行の時はすごかった、コットンパールをつければなんでも売れる・・といってもいいくらいのブームがありました。その時に大量に仕入れたコットンパールはまだパーツ在庫として残っています。ファッション流行はひとまわりするといいます、また戻ってこないかな。なんて。そういった流行品パーツで制作を広めてしまい在庫をかかえてしまうことも問題ですが、そもそもトレンドに左右されるモノづくりってアンテナをああちこちに向ける必要があり、競争相手も多く、振り回されてしまうととっても疲れるし、流行にのってしまうと後に続かない。長く続きません。

「作家」って基本的にはどちらかといったら引きこもり気質がある人のほうが向いている仕事だと思っていて。素敵な作品をつくる方って、基本的に自分スタイルを持っているので流行に左右されていないですよね。知り合う作家さんもコミュニケーションが「ん?」っていう人ほど(笑)、繊細で濃い世界観を持った作品を生んでいるように感じています、あくまでも個人の感想です。全人類比率で考えると本当にファッションに関心があって常に流行に乗っかっている人というのはほんの一部です。つまり流行品を購入する人も一部。”ここにしかない”世界観に引き込む力を持つ作家さんが、今後も長く活躍できるのだと感じています。私も、唯一無二の革作家を目指して、コミュニケーション「ん?」って思われても気にせず人間関係より作品世界観の構築に力を入れていきたいのです。

私が作品づくりにおいて”大切にしてきたこと”、”これからも大切にしていきたいこと”は、その2つです。あとは心を込めて制作した作品と、自分が築き上げてきた作品と共にあるストーリーを、必ず誰かが見つけてくれると信じて続けることが、「売れる方法」や「販売戦略」みたいな難しいことよりも大切だと感じています。戦略的な難しいことは嫌でも実践しながら経験として身についていくものです。

私の今後の作家としての目標は、小規模な作品販売と、ワークショップなど制作活動の中で福祉との関わりを増やしていくこと。今はまだ小さな4歳の娘との将来を考えながら、ハンドメイドを長く楽しみたいと思ってます。陰ながらでかまいません、応援してくださるとダウン症児育児にもより意欲が沸きます☺︎

さあ祝日明けからの今週も、がんばりましょう。

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この記事を書いた人

花とレザー、贈り物装具店。店主
兼prikish作家

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